沖縄市の古い住宅や店舗が建ち並ぶ道路沿いに、日常的に医療ケアを必要とする子どもたち(重症心身児)の支援・介護を行うNPO法人の新築移転計画です。
これまで同地域で既存の店舗併用住宅を改修し事業を継続してきましたが、建物の老朽化と、子どもたちにとってより良い環境を整えたいという想いから、近隣地への新築移転を計画しました。
今回の計画では、法人が掲げる「障害の有無も関係なく、だれもが互いを認め合い、支え合う思いやりの心」 の共生社会としての場の在り方が地域へ優しく影響し、 この施設が共生社会の発信地となることを法人と共に模索しました。
■計画コンセプト
地域の子どもたちが、医療ケアを必要とする子どもたちの存在や暮らしを理解し、共に地域で生きる仲間として出会い、ふれあい、考えるきっかけとなる場をつくることを大切にしています。
そのために、道路に向けて大きく開いた窓や、集える屋上園庭、豊かな草花を配置しました。
施設の子供達やスタッフ・医療 ケア施設を身近に感じてもらい、生命力と彩りを与える施設を目指しました。
■配置・空間計画
建物は敷地形状に合わせたL型とし、2つの道路に面して駐車場や乗降スペースを確保。
道路からセットバックし、曲線状の植栽帯を設けることで圧迫感を抑え、街にやさしい緑の景観を形成しています。
内部は、子どもたちの活動内容やケアレベルに応じて訓練室や水廻りを明確にし、中央に事務室や調理室を配置することで、スタッフの動線を効率化し、安全でスムーズな運営を支えています。
■環境・建築的工夫
身体的な制限がある子どもたちにも、日常の中で豊かな体験を届けるため、光・風・音・質感・香りなどの五感に働きかける環境づくりを重視しました。
屋上園庭と断熱ブロックで断熱することで断熱材・天井仕上げを無くし、それにより必要な天井高さを確保しながらも階高を抑える計画としました。
また、大梁と間接照明・設備スペースを一体的に計画し、落ち着きのある空間を実現しています。
■地域との関係性
階高を抑えたことで、道路と屋上園庭の距離が近づき、草花や緑をより身近に感じられるようになりました。
外装・内装には、植物の緑と穏やかに調和するよう彩度を抑えた砂壁仕上げを採用しました。時間の経過とともに風合いを深め、地域の風景に自然と溶け込んでいく建築を目指しています。
この施設が、子どもたちと地域をやさしくつなぎ、共生社会のあり方を発信する場となることを願っています。






