交通量の多い角地に面する地下1階・地上2階建ての住宅です。
計画地は、道路沿いに2.6mの擁壁がある傾斜地で、北側の隣地とは約3mの
擁壁で接する変形敷地でした。北側擁壁と建物に十分な距離を確保し、その
空間を住宅用の車路として活用しました。地中に埋まる部分は建物自体を
擁壁として利用し、道路から車の乗り入れができる倉庫を設けています。
住宅部分は道路レベルから持ち上げることで自由で快適な住環境を確保し、
周囲の緑を借景として取り込むことができます。さらにファサードには
木ルーバーを設け、光と風を取り込みながら視線をゆるやかに遮ります。
南側に設けたデッキは敷地の形状をそのまま活かしてつくり、その周囲を
木ルーバーが取り囲みます。この不規則な形状が自然の風合いを感じさせ、
まるで樹木に囲まれたかのような心地よさを生み出しています。自然が生む
陰影が室内にも差し込み、独特の表情を与えます。料理をしているときや
団らんのひととき、寝室へ向かう際など、さまざまな生活のシーンで外の
喧騒を遮り、柔らかな風と光のある木の温もりに包まれた癒しの空間を目指し
ました。
木ルーバーには耐久性に優れた保存処理が施された国産杉材を使用しており、
自然素材を身近に感じることで木材利用の促進を図ります。また、木材は建物
に炭素を貯蔵し都市における「第二の森林」としてカーボンニュートラルの
実現にも貢献しています。